あけましておめでとうございます ─── 今年、この言葉を交わすことに、ためらいを感じた方も多かったのではないでしょうか。元旦に発生した能登半島地震、2日に起きた羽田空港での衝突事故。正月気分は吹き飛び、次々と報道されるニュースで悲惨な状況を知るたびに、胸が締めつけられる思いでした。
お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。また、被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
地震による輸送状況の悪化など、被災地域への対応が困難な状況が続く中、ある報道番組のコメンテーターが、「今、我々は何をすべきか」という趣旨のことを話していました。それを聞き、「他人事ではなく自分事として、このような時に何をすべきか」と、私も自らに問うていました。考えを巡らせながら番組を観ていると、被災地で炊き出しをしている様子が映し出されました。その時の、現地の方々の言葉や表情が、心に染みわたりました。そして、炊き出しをしていた女性の言葉を聞き、胸に熱いものが込み上げてきました。
「私の家も被災して苦しいのですが、みんなも同じように苦しんでいるんです。だから、みんなで助け合わなければなりません。各家のおせちを持ち寄って、このように炊き出しをしているんです。体育館には暖房がありませんから、温まっていただければと思います」
おせちを口にしたご年配の方が、しみじみと語られました。
「こんな温かくておいしいものを味わうのは久しぶりです。嬉しくて涙が出てきます」
どうして私の心に染みわたり、胸に熱いものが込み上げてきたのか ─── それは、炊き出しをしていた女性の、「私の家も被災して苦しいのですが、みんなも同じように苦しんでいるんです」という言葉に感動したからです。自らが被災していながらも、地域みんなで助け合おうと行動を起こしている姿に感動したからです。この女性の振る舞いは、“ただただみんなのため”という一点にあると感じました。
この方に限らず、他の場所での助け合いの様子が、多く報道されていました。過酷な状況にあっても春風を送るような人の、心のあたたかさ、やさしさに触れ、思わず合掌する心境になりました。
私は思いました。“いざ!”という時に発揮される行動力や、献身的な振る舞いが、今求められているのではないかと。そして、「他人事ではなく自分事として、このような時に何をすべきか」と自らに問うた答えが見つかったのです。長年、教育現場に身を置いてきた私の答えは、
─── 今、目の前の子どもに対して、“世のため人のため”という資質・能力の育成に汗を流している方たちと、励まし合いながら、共に前に進んでいく ───
3月に卒業を控えるこの時期の6年生は、「将来の夢」を語ることが多くなります。教育関係者や医療従事者、また、スポーツ選手やアーティストなどのほか、最近ではユーチューバーといった職業も「将来の夢」にあがります。未来に向かい、平和で人にやさしい時代を築くのは今の子どもたちです。子どもたちが、“世のため人のため”という思いをしっかりと抱いて、社会の各分野で活躍することを願うばかりです。
今年は「辰の年」。そして辰の刻は午前8時の前後2時間頃です。教育現場が始動する時刻でもあります。子どものためという“熱き思い”で毎日をスタートする、そんな一年でありたいと思います。
~ 春を告げる「ホトケノザ」が、花を咲かせ始めた日 ~ (勝)