早くも7月を迎えようとしています。連日の厳しい暑さが続いていますが、教職員の皆さまが心身ともに健やかにお過ごしになれますよう、心より願っています。
さて、学校を訪問する際には、事前に校長先生にお電話を差し上げていますが、ご不在のことも度々あります。特に今年の4月は、例年にも増してご不在のことが多くありました。その背景には、新年度のスタートにあたり、本来必要とされる教職員数が確保できていないという深刻な状況がありました。そのため、校長先生ご自身が授業に入ったり、緊急の課題に対応したり、別室で子どもの相談に応じたりと、多忙な毎日を送っておられたのです。そのような事情を知るにつれ、「新年度早々、校長先生をはじめ、教職員の方々は本当にご苦労されているのだな」と、胸が締めつけられる思いになりました。いつしか、校長先生がご不在のときには、そっと電話を切るようになっていました。
ようやく連絡が取れ、教育現場でのご苦労に思いを馳せながら学校の玄関を入ると、子どもたちの歓声が響き渡り、運動場で元気いっぱいに駆けまわる姿が目に飛び込んできました。教室の窓からは、子どもたちが真剣に学んでいる様子が見えました。そんな微笑ましい光景を目にし、「子どもたちは社会の宝であり、教育現場こそが未来を創る最前線だ」という思いが自然と湧き上がりました。玄関に入る前の重い気持ちもふっと和らぎ、教育の尊さや素晴らしさを、肌で感じずにはいられませんでした。
先日、いくつかの学校を訪問しました。その際に校長先生方から頂戴したお言葉が印象的でしたので、ご紹介させていただきます。
ある小学校の校長先生は、地域とのつながりをとても大切にしておられる方でした。そこから生まれる子どもたちの学びについて、笑顔で語ってくださいました。
「この地域は、松下電器産業(現・パナソニック)の創業者である松下幸之助氏が本格的に事業を展開し始めた場所です。また最近、渋沢栄一氏にご縁のある方と交流する機会もありました。そこで、両氏の生き方や考え方を通じて、子どもたちが探究的に日本経済について学ぶきっかけになればと考えています」
また、別の小学校の校長先生は、学校創立記念行事が間近に迫る中、子どもたちを慈しむ眼差しで語ってくださいました。
「本校はまもなく創立20周年を迎えます。この節目を祝う式典は、単なるセレモニーにとどまらず、学校の歴史を学ぶ機会とするとともに、子どもたちの学習成果を発表する場にしたいと考えています。その様子を、ぜひ保護者や地域の皆さまにもご覧いただきたいと思っています」
さらに、ある中学校の校長先生は、より良い学校づくりのために積極的に取り組んでおられました。そして、穏やかな表情で語ってくださいました。
「現在、教職員と共に学校のグランドデザイン完成に向けて検討を進めています。そこで実感したのは、“検討するプロセスそのものも非常に大切だ”ということです。なぜなら、教職員が学校目標を再確認し、教育課程の意義について学び直す貴重な機会となっているからです」
──課題のない学校は存在しない。だからこそ、教職員が力を合わせ、知恵と勇気を出し合って課題を乗り越えることが大切だ。その結果、より良い学校が築かれる──
これは、私が一貫して大切にしている信条です。
今回出会った3名の校長先生も、さまざまな課題に直面しながら、教職員と力を合わせて「子ども中心の学校づくり」の先頭に立って挑戦しておられると感じました。その思いは、語られた言葉の内容だけでなく、自然ににじみ出る「笑顔」や「慈しむ眼差し」、「穏やかな表情」からも伝わってきました。これらの振る舞いや表情は、挑戦し続ける方だからこそ備わるものであり、私の心に深く残りました。まさに、学校の未来に光を照らす“太陽”のようだ──そんな思いが私の心に強く湧き上がりました。
ほかにも、多くの校長先生が教職員と心を合わせて学校づくりに取り組んでおられることと思います。教育現場でのご奮闘に、心から感謝申し上げます。
雨上がりに太陽の光が差すと、大空に鮮やかな虹がかかります。太陽には、雨空のあとに虹を生み出す力がある──私にはそう思えてなりません。そしてその光景は、学校の課題を乗り越え、希望の虹をかける校長先生の姿と重なって見えてくるのです。
梅雨の季節を迎え、雨の日も多くなっています。そんな中でも、ひときわ美しく咲くアジサイの花。その花は、小さな花が集まって一つの美しさを創り出しています。それはまるで、全教職員が心をひとつにして、仲良くにぎやかに、「希望あふれる学校」を共に創り上げている姿のように映ります。アジサイの花言葉は「和気あいあい」です。
~ “校長先生は、学校の太陽だ!” と、心から叫びたくなる日 ~ (勝)